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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第29章 vanilla 〜蒼き焔の行方〜 / 伊達政宗





『政宗、私、政宗に付いて行くよ、ずっと』


その時、政宗の脳裏に。
想いを交した時の舞の、花のような笑顔が現れ……
そして、散っていった。


一生守ってやると決めたんだ、
何からも、あの笑顔を守ってやると……



政宗は、二、三回まばたきをして……
そして、秀吉をしっかりした目つきで見据えた。


「……悪かった。 湯を浴びてくる」


いつもの政宗の不敵さが瞳に戻り、秀吉は安心して、胸元から手を離した。


「おう。 帰ってくるまでは俺が舞についててやる」
「変な気、起こすんじゃねぇぞ」
「当たり前だ、馬鹿」


二人は視線を絡ませ、そしてほのかに笑みを浮かべた。




















湯を浴びた政宗が、秀吉と入れ違いで舞の部屋に入ると。

薄ぼんやりと行灯が照らす中で、舞は褥で静かに寝息を立てていた。

頭や首、腕にも痛々しく包帯が巻かれ……
政宗は舞の横に寝転ぶと、壊れ物を扱うかのように、そっと舞の頬を撫でた。



「……ん……っ」



舞が少し、身じろぎをする。
そして、ゆっくりとその瞳が開かれ……

顔を覗き込んでいる政宗と、視線が絡んだ。



「まさ、むね…………?」



掠れる声で名前を呼んだ舞の額に、そっと口付けを落とし……
政宗は愛おしむように、頭を撫でながら言った。


「おはよう」
「…………」


舞は呆然としながら、辺りを見渡していたが、やがて目を大きく見開き、がばっと起き上がった。
そして、身体に腕を回し、怯えた声で言った。


「私、私……男に、男に……っ」


みるみる瞳に涙が溜まっていく。
政宗も身体を起こすと、舞の華奢な肩を掴み、瞳から零れ落ちる前に、涙を唇ですくった。



「嫌……いやぁ…………っ」
「舞、落ち着け、もう大丈夫だ」
「男に…っ、犯され…………っ!」



(…………っ)



政宗は見ていられなくなり、そのままきつく抱きしめた。

小さな身体が、小刻みに震えている。
政宗はあやすように舞の背中を撫で、そのまま耳元で優しく囁いた。





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