第7章 緋色の再会──Sherry, Russian
「組織にですって……?断るわ」
そう言った途端、クリスさんはためらいもなく発砲した。咄嗟に避けるが、かすったのか髪の毛が数本パラパラと落ちた。
「く……っ」
「選択肢をあげる。組織に入るか、──死ぬか。どっちがいい?」
クリスさんのその言葉に私はニヤッと笑った。
「どっちも嫌……って言ったら?」
「もちろん、容赦なく殺すわ」
「あら非情ね。一般人の女子大生を殺すなんて」
ふざけたように私が言っても、クリスさんはこたえない。代わりに真顔になって言った。
「本当ならキティと共に逃げた時点で殺さなければならなかったのだけど、それを今までしなかったのはボスの温情に他ならないわ。ボスは今、貴女を必要としている。組織に貴女が必要なのよ。──分かるわよね?」
クリスさんは笑ってそう言った。
私は目を伏せてため息をつく。と、クリスさんの携帯が鳴った。
「……何かしら」
彼女が通話している間、私は両手を挙げて待った。
やがて通話が終わり、クリスさんはまた私に銃を向けた。
「さて、白馬の王子さまがお迎えに来たわ。組織に入るわよね?」
クリスさんはニヤッと笑った。私も不敵に笑う。
「もう既に質問してないわね。いいわ、あなた達の組織に入る。その代わり──」
「その代わり?」
「私に人を殺させないで。殺しの仕事だけは──したくない」
私がそう言うと、クリスさんは不敵に笑った。
「ボスがそれでもいいと言えばね。まぁ検討はしておいてあげる」
「……ありがと」
そう言うと、クリスさんは手近のメモ帳に何か走り書きした。
「これは私のメールアドレス。こっちはボスの。2つ共すぐに覚えて、紙は処分しなさい」
「……分かった」
私は感情を殺した声で返事をした。
紙をもらい、ポケットに突っ込んで部屋を出て行く。
車に戻ると、コナンに質問責めにされたが、しれっと「ホテルの中で迷っちゃって」と嘘をついた。
組織に加入したことは追々話そうと思う──