第23章 服部平次と吸血鬼館
ちなみに、氷の車輪を作ったのは鍵付きの冷凍庫。子供用のプールの真ん中に海苔の缶を立てて、車輪が2つ出来るように途中を紙か何かで仕切っていたのだろう。そして、その氷の車輪を冷凍庫から出して階段の所まで転がして持って行ったから、蘭ちゃん達が床にこぼした粉が車輪の幅だけ取れてしまっていたのだ。
2人がそこまで話すと、羽川さんは「ったく……」と呆れた声をかけた。
「このガキ共……。証拠もねぇのに御託を並べやがって……」
「あら、証拠ならあなたが持ってるはずですけど?」
「え"?」
私はニーッコリと笑って言った。
「コナン君、やっちゃって?」絶対零度の笑みを崩さず、私はコナン君に言った。コナン君は少しビビっていたようだけど、すぐに羽川さんの尻ポケットから紙を取り出した。
「ひかるさんの携帯から旦那様のメールを消さなかったのは後でひかるさんに罪を着せるため……。だからひかるさんの口を封じるためにどこかに呼び出すと思ってたよ……。ひかるさんのために旦那様が作ったこの殺人計画書を持ってね!
この計画書には、羽川さんを南蛮部屋に呼んで殺し、鍵をかけて密室にした後、この通路から外に出るって書いてあるから……。計画書通りひかるさんに呼び出されたことにして、彼女が襲ってきたから正当防衛で殺したことにしたかったって所かな?」
その計画に私は大きくため息をついた。
「それでひかるさんの遺体のそばに計画書を置いてみんなを呼べば……犯行途中で返り討ちにあった殺人鬼の出来上がりってわけね?……くっだらない」
あ、やべ、本音出ちった←
羽川さんは心底悔しそうだった。バレるわけなかったのに、と。
「あんたが棺桶に付いた血ィを『もっとよー調べてくれ』っちゅうてた時から怪しいって睨んでたで……」
「.な、何で!?あれは棺桶に首を入れた時に垂れた血……。その他が犯人と違う血液型だと鑑定しやがったんだぞ?警察のミスだろーが!」
そう叫んだ羽川さんに、平次君は静かに言った。
「旦那さんは多分、癌や……。末期になると血液型が変わってまうことがある……。A型ならAB型、O型ならB型にな……。それをハナから鑑定ミスやと言えんのは……首を棺桶ん中に入れた犯人だけやで……。まぁ、あんたの血ィもこの計画書で……残忍な殺人鬼の血ィに変わってしもたみたいやけどな……」