第5章 【黒バス】ハンカチーフと私
顔を上げた私の目に映ったのは自転車をこぐ高尾くん!
で、高尾くんが立ちこぎしてチリンチリンとベルを鳴らし私に手を振る。
ううっ、かっこいい。
学生デートっぽい!
でもちがくって!私が待ってるのは緑間くん、のハズ……。
夕闇の中を疾走する自転車――じゃない……?
自転車の後ろには何かが続く。
かぼちゃの馬車、ならシンデレラだけど勿論そんなものじゃない。
それはリヤカーだった!
それは私の前にキッ、ガタンガタンと物々しく止まる。
「もー……真ちゃん着いたよ!」
高尾くんが荷台に向かって云う。
私もリヤカーの方に視線を向けた。
そこには悠々と腰掛ける緑間くん!
ああん、リヤカーの上に座っている姿さえ玉座にざす王子様みたいだよぉ!