第7章 有終の美を貴女に 7
───唇を奪われた次の日。
時計はもう8時を指し、もうすぐ予鈴のなる頃。
「あら、おはよう。」
さも当たり前のように挨拶をする雅を無視しながら、私は本の世界に浸っていた。
本は良い。どんな絶望に居ても夢を、希望を、可能性を見せてくれる。
もういっそこのまま本に埋もれて死んでしまいたい。
「あら、まだ死ぬ事なんて考えているの?」
そう何事もないかのように、雅は私の顔を覗いてくる。
その距離は僅かで、睫毛の先まで見えるほどの近さだった。
「────っ!!!」
咄嗟に本を閉じ、椅子から立ち上がる。
周りがざわついているが、何も気にしない。気にしたら負けだと自分に言い聞かせる。
「......あら、何処に行くの?」
「あっ、貴女には関係ないでしょう!」
そう言い捨てながら、私は屋上へとまた向かった。
予鈴まであと数分。
その日、私は朝のHRを無断欠席した。