第1章 有終の美を貴女に 1
都内某所某日
昼休みのチャイムが鳴り、教室に喧騒が訪れる。
かつん、かつん、と、階段を登り上がった先にあるのは屋上への扉。
「...」
一人の少女は、一言も喋らずに屋上へと上がる。
髪が風に靡き、揺れる。
お弁当を食べに来たわけでもなければ、誰かに告白しに来たわけでもない。
ましてやこの屋上は――閉鎖されているはずだった。
――少女は上靴のまま、柵へと近づいて行く。
瞳は虚ろだが、足取りは確かだった。
そしてそのまま、柵へと手を掛けると
何の躊躇いもなく
下へと
落ちた
「...ねえ、おーい、おーいってばぁ。」
「...」
目を覚まして入ってきたのは眉目秀麗な少女の顔。
何度か瞬きをしてから落ちた彼女はこう言った。
「私――また、死ねなかったのね。」