第4章 リストバンド
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次の瞬間、あたしは夜久先輩に抱きしめられていた。
あの時と同じ。
蓮と同じ、暖かさを感じた。
「白星さ…辛いんだろ?最近元気に振舞ってだたの、演技だろ?気付いてないとでも思ったか。………でも」
夜久先輩はそこで言葉を止めた。
抱きしめる手に力を込めて続ける。
「傷(それ)には気付けなかったんだよ…辛いなら、辛いって言え。俺がお前を、救うから。」
言葉が出なかった。
すごく嬉しくて。
夜久先輩の言葉があたしの心を溶かしてくれているようで。
しばらく夜久先輩に体を預けた。