第3章 傷
1人で抱えきれなくなって、溢れたのかもしれない。
「あたしは蓮が…好きでした。大好きでした。誰よりも…」
黙って聞いてくれていた夜久先輩が、口を開いた。
「きっとさ…黒瀬さんだって、白星のこと大切に思ってたよ。黒瀬さんは白星に笑っててもらいたいって思ってるよ。絶対。だから笑ってて。」
その言葉で、今まで堪えてた涙があふれ出した。
1週間、絶対に泣かなかった。
あたしのせいだと、泣いてはいけないと。
蓮の死後、あたしは初めて泣いた。
その間ずっと、夜久先輩はあたしを抱きしめてくれていた。