第5章 近づく心
「……元気そうだな。」
足を組んでアイリーンを見ながら、リヴァイは少し嬉しそうだ。
心配してくれていたのは、アイリーン自身もわかっていた。
だからこそ、本人の口から安堵の言葉が聞けた事にアイリーンは、はい! と嬉しそうに頷いた。
「ハンジさんから聞いたんです。今回の事件、リヴァイさんが沢山頑張ってくれたと。ありがとうございました。」
「いや、お前のお陰で犯人を見つけることができた。感謝する。」
リヴァイに感謝を伝えることをずっと考えていただけに、まさかリヴァイから感謝されるとは考えておらず、まさかの事態にアイリーンはあたふたしてしまう。
えっと、その。と言葉を探るアイリーンの姿にリヴァイは何となく楽しい気持ちになっていた。
この気持ちが何を意味するのか、リヴァイにはよく分からなかったが、
それでも、今アイリーンを見て面白い奴だ。と感じる気持ちは、心地よかった。
「何か礼をしたい。何が良い」
「え!? れ、礼だなんてとんでもない! あ、そうだ……」
礼をしたいと申し出たリヴァイの言葉を、頭が取れそうなほど横に振って否定したあと
何かを思い出したのか、ちょっと待ってくださいね。と言い残して隣の部屋へと姿を消した。
一人残されたリヴァイは、ふぅ。と息を吐いてソファに頭をもたげる。
胸に手を当てて、服をぎゅっと掴む。
さっきのアイリーンとの距離には、正直どきりとした。
なにも無かったかの様に振る舞えただろうか。
動揺を悟られなかっただろうか。
女とそういう関係になったことがないわけではない。
どうということはない距離なのに、自分の胸は正直に反応した。
もう忘れ去っていた何かを、思い出させようと身体がしているようで
リヴァイは少し気持ちが悪かった。
アイリーンが自分の言葉一つに表情をコロコロと変える様は、見ていて飽きないから好きだ。
だが、この心が思い出させようとしている感情はリヴァイにとっていらない物。
思い出したくない気持ちを、再度持たせようと迫ってくる心が、頭と反発しあっていた。
気持ちが悪い。
リヴァイは服を掴んでいる手に、更に力を込めた。