第35章 知ってる
…やっと見つけた。
目の前のヤツを殺す為に生きてきた。
「久しぶりだな。…サスケ。」
昔は大好きだった声。
今となれば、その声を聞くだけで憎しみが膨れ上がる。
「おやおや今日は珍しい日ですねぇ。二度も…他の写輪眼が見れるとは。」
アイツの連れが喋る。
しかし今の俺には、それすらどうでもいい。
「うちはイタチ…。あんたを殺す!」
憎しみで狂うサスケの様子を見て、ナルトは呆然としていた。
突然現れた、うちはイタチと名乗る男。
(サスケと同じうちは!こいつら一体何者なんだってばよ!?)
「ほう、写輪眼。しかし、あなたに良く…。一体何者です?」
イタチの隣にいる鬼鮫が、考えていた事とまったく同じ質問をする。
その質問に、イタチが驚くべき答えを言った。
「オレの…弟だ。」
(こいつが、うちはを全滅させた…。そして、サスケの言ってた、殺したい男!!)
「あんたの言った通り…、あんたを恨み、憎み…。そして、あんたを殺す為だけに俺は…っ!生きてきた!!」
サスケはありったけのチャクラを、左手に込めて千鳥を放つが、イタチに軽々と止められてしまう。
「…っ!このっ…!!」
「邪魔だ…」
ボキッとサスケの左手が鈍い音を立てた。
「サスケェ!くそっ!」
ナルトは口寄せをしようとするが、鬼鮫の鮫肌によってチャクラを吸収され、防がれる。
「ちょこまか術をやられると面倒ですね…。まずその腕を切り落としましょうか。」
鬼鮫が鮫肌をナルトに振り下ろした時。
蛙がそれを防ぎ、女性を抱えた白髪の男が派手に登場し、自来也と名乗った。
「目当てはやはりナルトか」
自来也の言葉に、ナルトもサスケも驚いた。
「ナルトくんを連れて行くのが、我が組織 "暁" から下された我々への至上命令。」
「ナルトはやれんのぉ…。ちょうどいい、お前ら2人はここでワシが始末する!」
「始末する」という自来也の言葉に、これでもかと頭に血がのぼる。
「手ェ出すな、こいつを殺すのは…俺だ!!」
しかし、イタチは「今はお前に興味がない」と、相手にする事なく俺を一蹴した。
『きゃあ!…え、さ、サスケ!?』
「…リク!」
俺だけではない、その場にいた全員が、その声に驚いた。