第15章 ガーネット
開いたままのカーテンから、陽の光がまともに顔に当たってた。
「ん…まぶし…ぃ…」
寝返りをうつと、そこには陽の光を浴びて微笑みながら俺を見ているあなたが居た。
「凄いよく寝てた…」
「そう…?今、何時?」
「10時」
「そっか…仕事、行かなくちゃ…」
まだ俺たちはぐちゃぐちゃの裸のままで…
朝まで求めあっていたというのに、その腕は俺を抱き寄せた。
「あ…翔、待って…」
「智…愛してる…」
「…俺も…」
甘い声…こんな甘い声聞いたことがない…
「愛してる…」
見つめ合うと俺の額にキスをして、そして笑った。
手に入れた…
長い間、恋焦がれて憧れて…
絶対に手に入らないと諦めていたあなたを…
心も身体も、俺は手に入れたんだ
潤…ごめんね…
俺は、おまえの思いを利用したよ
わかってたんだ。
俺のこと抱いたのは、遊びだって。
だから…俺は…
翔ちゃんの好むカードを切っていったんだ。
あなたの大好きな…背理のカードを。
ガーネットのブレスはまだ翔ちゃんの手首にある。
多分…これを外すつもりはないんだろう。
これが…おまえの思いを利用した俺への罰。
ずっとおまえの思いを見つめながら…俺はこの人に抱かれ続けるんだろう。
あなたがシャワーに行くのを見送ると、スマホを手に取った。
昨夜から大量の着信があった。
スワイプしてリダイヤルのボタンを押す。
「もしもし…」
だから…
「俺…」
あなたがその戒めを解かないなら、俺も解かない。
「今夜…いつものホテルで…」
俺たちの関係は、パラドックスの彼方へ
【ALL END】