第6章 ショコラ scene4
「あれ…?」
体中が痛くて目が覚めた。
真っ暗な天井。
見覚えのない電灯の傘が見えた。
「どこだ…?ここ…」
起き上がると、俺は布団をかぶっていた。
綿の布団…
周りを見渡すと、どうやら座敷に寝かされている。
障子からはうっすらと月明かりが滲んでる。
部屋の中は真っ暗で、その月明かりだけが頼りだ。
「なに…してたんだっけ…?」
身体の痛みに耐えられず、身体を両腕で抱えるようにするとどこからか鈴の音が聞こえてきた。
部屋の隅から滲むように白い猫が現れた。
にゃあと甘えたように鳴くと、俺の膝の上に乗ってきた。
「おまえ…どこの子…?」
すりすりと俺の胸に額をこすりつけて、気持ちよさそうにしている。
「白…」
そう…この猫の名前は、白…
真っ白な身体に、右目は少しだけ赤みの掛かったオッドアイ。
首には赤い首輪をしている。
ちりんと音がするのは、首輪に付いた鈴だった。
「うっ…」
突然息苦しさが襲ってきたかと思うと、喉の奥が焼けるように痛い。
思わず喉を押さえるが、そんなことじゃ痛みは引かなかった。
苦しくて息もできない。
「うっ…ぐっ…」
喉の奥から何か熱い塊がせり上がってくる。
口に当てた手に、思わずそれを吐き出した。
真っ赤な血がついていた―――