第4章 ウィスタリア
(怖い怖い助けて)
ギュッと抱き着く萩の頭を優しく撫でて安心させる
「もうカイン様大きな声出さないで下さいよ。怯えてるでしょ」
「アランどういうことか説明しろ」
「レオの奴が連れて来たんです。俺だって知りませんよ」
「おい!!お前黙ってないでなんとか言え!?」
「わた..しは...」
カタカタと体が震えてギュッと目を閉じると
『見つけた.....生きて
.....困るの.....死ね』
ドクンッと心臓が跳ねる
「い...やだ.....助けて...」
「はぁ?何言ってんだ」
「萩?」
助けてと呟き怯える
カインは様子がおかしい萩に
手を伸ばすと
ビクっと体が震え目を見開き
「触らないで!?」
伸ばしてきた手を払い
その場から駆け出そうてして
ユーリに手を捉まれた
「萩!待って」
「嫌だ離して!!!!」
「萩落ち着いて、俺を見て」
両手で頬を持ち
アーモンドの瞳で
優しく微笑む
「大丈夫、傍にいるって言ったでしょう」
「ユ.....リ?」
フッと力が抜けユーリの腕の中に
倒れて意識を失ってしまった
「これは何事ですか?」
「ジル様.....」
廊下の騒ぎに気付き近づいて来た
ユーリの腕の中で気を失っている萩を見て驚く
「サクラ様?いえ、似ていますが違いますね」
「レオの奴が連れて来たんですよ。
『息抜きに連れ出してた』って言って」
アランが説明をする間
ジッと萩を見つめていたが
「取りあえず休ませてあげなさい」
「ありがとうございます。ジル様」
横抱きに抱き上げると
ユーリは自分の部屋へと
歩き出す
「目覚めたらお話を聞かせてもらいますよ」
「.....はい」
『萩様、私が貴方をお守り致します。騎士の名にかけて』
『ありがとう。フェデルタ』
『逃げなさい早く!!』
『父様ー母様ー嫌だ!!死なないで!!
助けてお願い助けてよフェデルタ』
手に温もりを感じ
意識が浮上する
「....っん」
目を開くと見知らぬ天井が見える
「ここは...」
「俺の部屋だよ」
声がする方に顔を向けると
アーモンドの瞳が
優しく微笑みかけている