Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
智side
「なあ、今度の週末なんだけど…」
キッチンで晩御飯の後片付けをする僕に、こたつに潜ってテレビを見ていた翔君が、背中を向けたまま言う。
そういう時は、決まって僕に言い辛いことだ。
だからあえて僕はその先の言葉を促してやる。
「週末がどうしたの?」
濡れた手をタオルで拭き、キッチンを出る。
そして丸まった背中に後ろから抱きつき、撫でた左の肩口に顎を乗せる。
そうしてやると、右手がスッと伸びてきて僕の頭をガシガシ撫でながら、翔君はフッと笑うんだ。
「週末な、大学時代の友達と飲みに行きたいんだけど…いいかな?」
「そんなこと? それなら僕に確認する必要…」
「智も一緒に…だけど、いいかな?」
へ、僕も?
「その…言っちゃったんだよね、“恋人がいる”ってさ…」
はあ?
「だめ…かな?」
“だめ”も何も…
それって普通に考えて、マズイんじゃないの?
だって僕達は、世間一般で考えたら、所謂“許されない関係”であって、決して堂々と“恋人です”なんて言える関係じゃない。
そのことは、誰よりも翔君自身が一番理解している筈なのに…
「イヤなら別に断ってくれても構わない。でも、俺は智と…」
翔君の胸の辺りで組んだ僕の手に、翔君の手が重なった。