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【企画SS】栗より甘い、【HQ】

第1章 栗より甘い、


それまで饒舌だった速水江の口からはぱったりと言葉が途切れ、何と弁明していいのか困り果てているようだった。
なんとかフォローしてやろうにも、速水江の愚痴を青根はハッキリと聞いてしまっていたし、俺が口を挟むと余計こじれるような気がして躊躇してしまった。

重い沈黙が流れて、しばらくした後、青根がゆっくりと口を開いた。

「……無理して、付き合わなくていい」

それだけ言うと、青根はくるりと踵を返してその場から立ち去ってしまった。
速水江を見ると、今しがた起こったことに頭が追い付かないのか、青根の後ろ姿をただぼうっと見つめていた。
このままでは二人の関係は終わってしまう。
速水江を諫めず、ただ愚痴を聞いていた自分にも責任があるような気がしてくる。
呆然としている速水江の肩をはたいて彼女の正気を取り戻させた。

「おい、追いかけなくていいのかよ?!」
「…っ…!」

目にいっぱい涙をうかべて、速水江は弾かれるように椅子から立ち上がり、青根の後を追いかけて行った。
あの二人の仲がなんとか元通りになりますように、と俺は祈るしかなかった。



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