第22章 Op.22 永久なる夜【R-18】
王宮の正面玄関にクロードの車が着く。
「さぁ、着いたな」
夕暮れ時。もうすぐ日が落ちる。
「俺と一緒にいて声が出るようになったなんて、ルイに知れたら殺されそうだな」
「そんなこと…ないよ」
レオナはゆっくりと答える。
「まぁ俺もこの後スタジオで撮影の仕事があるからな、このまま行くよ。ルイによろしくな」
「うん…」
レオナは車から降りると
一度だけ視線を投げ、そのまま車を出した。
去っていく車の後ろ姿を
レオナは見えなくなるまで眺めていた。
「ずいぶん名残惜しそうじゃない?」
後ろから、聞き慣れた声がする。
「おかえり、レオナ」
ルイはレオナのそばに駆け寄ると
ぎゅっと身体を抱きしめた。
レオナはルイの背中に腕を回し
抱きしめながら耳元に唇を寄せた。
「……ただいま、ルイ」
ルイの抱擁する腕が固まる。
「え……」
「ルイ…」
ルイは身体を離し、レオナの顔をのぞきこむ。
「…幻聴じゃないよね?」
レオナは微笑みながら
ルイをまっすぐ見つめて言った。
「ルイ…ただいま」
ルイは僅かに潤んだ目を細めて
レオナの頬に手を添えた。
「よかった……レオナ、おかえりなさい…」
そして優しく
唇を重ねていった。
その日は、もう日が暮れかかっていたため
レオナとルイは王宮に一泊することになった。
声を取り戻したレオナの姿に
王宮の面々はほっと胸をなで下ろし
久しぶりにレオナを囲んでの
温かい食事のひとときを過ごすことができた。
ルイと部屋に戻り
レオナは並んでソファに掛けた。
「もう、苦しかったり痛かったりとかはない?」
「うん大丈夫」
僅かに掠れる声でレオナは答える。
ルイはふっと安堵の笑みを浮かべて
レオナの髪を撫でた。
「良かった……でもちょっとショック」
「え?」
「…どうしてクロードに会ったら声が出るの?」
不服そうなルイにレオナは苦笑した。
「胸のつかえが…取れたのかも」
「ふぅん、そう…」
するとルイは突然
レオナの肩を掴み思い切り押した。