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両思いでしかない。

第1章 両思いでしかない。


1.

「木兎にはさ、好きな子がいるんだよ」

都内で強豪の男子バレーボール部を有する梟谷学園高校に推薦入学して、そこで出会ったひとつ上の木葉秋紀さんに一目惚れした。
そんな木葉さんに思いを告げてあっさりOKもらって、3ヶ月。初めて過ごす賢者タイム。
男同士ってやれるもんだな、とか、けっこう幸せに浸ってた俺に別の男の話ふるってこの人どんな神経してんだろ。

「...なんで今その話なんですか」

至極まともな返事だと思う。自分の肩の15㌢先にある木葉さんのサラサラな髪に指を通しながら不機嫌にしてみる。

「いや、お前と同い年だしさ、明後日から新しいクラスだろ?もしお前と一緒の...」
「俺と同い年?」

2日後に木葉さんは3年に、俺は2年になる。
うちの高校は2年に上がる時だけクラス替えがあるから、明後日から今までと違うクラスメイトと顔を合わせるのだ。

「そー、赤葦と同じ2年なんだよ。」

今度は俺の髪をくしゃくしゃと撫で回しながら気だるそうに、だけど至って真面目に木葉さんは話す。...気持ちよくて睡魔が俺を誘惑する。

「...あー、赤葦寝る?」
「...んー、にゃ、聞きます。...俺と同じクラスだったらなんかあるんですか。」

目をしぱしぱしながら言うと、「かわい」なんて言いながら嬉しそうに笑うこの人に、俺はこれからいろんなもの捧げていくんだろうなーって浸る。
ぽつりぽつりと木兎さんの話をする横顔を眺めながら、いつの間にか眠りについていた。
話の内容はぼんやりとしか覚えていないけど、バレーボールにしか興味がないと思っていた木兎さんの違う顔を知ったことと、そんな木兎さんとその想い人を隣で眠る俺の愛しい人が大切にしていることだけはわかった。

どんな子なんだろう。

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