第26章 背中
side.カラ松
情事のあと、軽く互いの体を拭って呼吸を落ち着かせる
その間他愛もない話をしながら指を絡めたり、足を絡めたり・・・お互いの気持ちが伝わるようで、大好きな時間だ
やがて気が済むと
「シャワー浴びるか」
そういって羽織を肩にかける
そういえば
カ「って背中見せないな」
「・・・」
あ、何かマズいこと言ったかな
ジッとこちらを見ていた視線を逸らし
「見たって気分の良いもんじゃないでしょ・・・傷だらけの背中なんか」
カ「え」
そういえばエッチの時に背中を触るとザラッとする時があったような・・・
「虐待してた人間がわざわざ病院に連れてくわけないし。父さん達に引き取られてから行ったけど、時間が経ってるから痕が残るけどどうしようもないって」
理由を聞けばなんとなく納得はできた
でも
カ「見たいって言ったらダメか?」
聞いてみると、しばしの沈黙
「ヤダ・・・って言いたいけど、カラ松ならいいよ」
そう言って俺に背中を向け、羽織を外した
カ「っ・・・」
思わず息を呑む
無数の小さな火傷の跡に、少し抉れたようにヘコんでいる・・・これは切り傷の痕か
恐る恐る手を伸ばして、火傷の痕に触れてみる
触れると同時にピクッとの体が揺れ、今度は彼が息を呑んだ
「っ・・」
少しずつ指をずらして切り傷をなぞる
なぜか愛おしさが込み上げてきた
たまらず、その痕に唇を近付ける
「なにして・・・」
カ「動くな」
振り向こうとする彼を制止する
そうして全ての傷痕に口付け終えると、後ろからを抱き締めた
「なにしてたの」
カ「触ってキスした・・・が生きてきた証だからな。これがあるから、今のがいるんだし」
彼が生きてきた境遇や辛さは分からない
でも、それがなければ今の彼はいないのだから
だからこそ、傷痕すらも彼の一部なら愛おしいのだ
「手ぇ解いて」
カ「何故だ?」
もう少し抱き付いていたいのに
「いいから」
頑なな
仕方なく腕をどかす
するとが振り向き、正面から抱き締められた