第29章 華を蝕む闇

「抱きますよ、俺。
好きな人にそんな事言われたら
今度こそ…何を言われても
止まれませんよ」

脅迫めいたセリフを吐き
姫凪さんの顎を跳ね上げる

駄目です俺なんかの為に
自分の身を差し出すなんて
言わないで下さい

俺はズルいから

『うん、良いよ。
赤葦くんの傷を癒やさせて欲しい
だから側にいて』

アナタの心を覗くのを放棄して
その言葉を鵜呑みにしてしまいます

「なんで…！
俺なんかの…為に…」

駄目ですよ
本気にしてしまう…から。