第2章 始まり
ある夏の日のこと。それは私にとって忘れられない日となった。
里の大人たちが叫んでいる。
『早く!早く逃げろ!』ーーー
私たちの里は、争いごともなく里のみんなが協力し合いとても平和だった。悲しい思いをする人なんていなかった、そんな時が、永遠に続くと誰もが思っていた。
ある日、里に幕府の役人からの手紙が届いた。
『鬼の生体を調べるために幕府の所有物になれ。』つまり、私たちに幕府の実験台になれ。そんな内容だった。
私たちは心臓を貫かれない限り死なない。
幕府の所有物になったら、私たちは戦へ駆り出されるに決まっている。