第14章 DESTINYー運命ー
そして………………
突然に私の目からは涙が溢れ出す。
拭っても拭っても止まらない涙、だからもう拭うのを止めた。
ひくひくとしゃくり上げながら膝を抱えて『島津中務大輔豊久之碑』という文字を見上げる。
どうして……ねえ…どうしようも無く………
「………っ…
会いたいよぉ………豊久…ぁ……」
西の空が茜色に染まり出した頃、止まらなかった私の涙が漸く涸れ果てた。
私は1つ大きく息を吐いて立ち上がり、そしてにっこりと笑ってみせる。
だって、私は笑っていないと……
そうじゃないと豊久に『お前(まあ)は何時も笑っておれ!』って叱られちゃう。
秋の陽は落ちるのが早い。
直ぐに薄暗くなってしまいそうだ。
「そろそろ、帰らなきゃ……」
417年前の今日、貴方はここに居た。
418年後の今日も、419年後の今日も……ここで私を待っててくれる?
「また……来るね。
今度は、2人で。」
大きな石碑の後ろに見え隠れする夕陽の眩しさに目を細めて踵を返す。
さあ、また新しい世界のスタートだ。
その新しい世界に臨むべく一歩足を踏み出した私に向かって、背後の石碑が語り掛けて来たような気がした。
『……
お前(まあ)がそうやって最期まで笑っておれば
それが俺(おい)らの勝ち戦ぞ。』
了