第11章 Red Trick~織田信長~
「何をしておる……と聞いておるのだがの?」
まあ、そう言った所で答えなど返って来る訳が無いわな。
そんなもん見りゃ分かる。
あの与一が跪いて、今まさに咥えようとしていた一物の持ち主……
この男は誰だ?
与一がこれ程に傅くなぞ……その風貌から鑑みても恐らく此奴が『義経』とやらなのだろうな。
突然現れた俺に視線を向けたまま、二人共に動かない。
与一は気不味そうに視線を泳がせ、もう一人は俺のこの先の言動を推し量っておるようだ。
さてさて……どうしたものかのう?
「貴様らがお互いに同意の上で愉しんでおるのならば
邪魔をする気は更々無い。
ん?
どうなんだ?
どうだ………与一?」
「信長殿………私は……」
「邪魔しないでくれるかな、ジジイ!」
何かを言い掛けた与一を牽制するように、男は不敵に笑って言い放った。
自分で称するのは構わんが、他人からジジイ呼ばわりされるのはやはり面白く無いのう。
笑ってはおるが、その男の目は敵意が剥き出しじゃ。
良いねえ……ぞくぞくするわい。
この俺、第六天魔王織田信長を敵に廻すとどうなるか……
篤と味わって貰うとするか。