第9章 EP海常2 残念なイケメンと中型わんこ
「やあ、和泉。今日も綺麗だな。」
「僕にもそのセリフを言うのかい?」
「ダメかい?」
「ダメではないけど」
困った顔されても、うんともすんとも言えない。
何せ、男子制服姿だからなぁ。
僕が女だということは周知の事実のようだけど。
主人公ちゃんは、バスケ部メンバーとは同じクラスだし。
まぁ、彼女は男子制服なんか着てないけど。
「森山先輩の知り合いなんスね。さっきのイジメを止めるとこかっこよかったス」
興奮した様子のわんこ系の笑顔でそう言ってきたのは
キセキの世代の一人。黄瀬くんだ。
ナイスタイミング。
黄瀬くんは見下してる時と懐いた後で大分態度が違うんだけど。
どうやらさっきので、尊敬(懐いた状態)になったらしい。
「俺は黄瀬涼太。1年ス」
「うん。知ってる。」
まぁ、モデルやってるしな。
「意外だな。」
こんななりしてるし、女の子を口説くのに抵抗ないのを知っていたら、そりゃ意外でしょうけども。
「何が。」
なんとなく、この女好きの健全だけど残念なイケメン。
ずっと先輩呼びしてたから、先輩呼びが癖になってるけど。
森山先輩の言葉に素直にうなずくのは嫌だった。
「キミが黄瀬のことを知っているのがだよ。」
怒らせないようにという感じで、森山先輩が説明する。
「そりゃモデルやってるし、こんなん目立つでしょ。」
「こんなんってなんスか~。酷いっス和泉っち先輩」
ん?
なんか僕の呼び方混ざってない?
「え~っと?」
まだマネージャーになった記憶もないし、黄瀬くんとバスケして認められた記憶もないんですが・・・・・・
「あぁ、気にしなくていい。」
「いや、気にするところだよね。黄瀬くんは認めた相手にしか○○っちつけないって聞いたし。でもバスケ部の先輩方にはつけてるの聞いたことないし・・・・・・」
「それは・・・・・・」
まぁ、小説かなんかで読んだような記憶もあるんだけど。
森山先輩は言葉に詰まる。