第9章 暴徒
とあるエリアでエリアストレスが急上昇しているらしい。
『…原因は、何でしょうか……。』
「今は、まだわからない。
……ただ"サイコハザード"を起こしうる可能性がある。
危険の芽は早めに摘み取れ…と言うことだろう。」
「…それ、今に始まったことじゃないっすよね〜。ギノさーん?」
「黙れ、縢。」
「了解でぇーっす。」
私と宜野座さんとの会話に縢くんが割り込んでくる。
縢くんは宜野座さんに叱られた。
その返答も軽く面倒そうに聞こえて私は少し微笑んだ。
それから、しばらくして……
現場を見て、私は驚いた。
そこに横たわっていたのは…
1人の女性の遺体だった……。
『こ、これは……‼』
あまりにも酷すぎる……。
殴り殺された女性の死体……。
「一般市民の面前にこれがあったら……そりゃエリアストレスも上がるわけだ……。」
「…ドローンの要請をしよう。……死体の処理と、このエリアの封鎖が必要だな……。」
私が絶句するのを見てから狡噛さんが呟く…。
それから、続いて宜野座さんが呟いた。
私は死体から目をそらす。
やはり、死体を見るのは少し怖い……。
"死"は生きている者にとって、怖いものだと私は思っている。
……死ぬ時、この女性はどう思ったのだろう……。
そんなことを考えていると……
「……監視官。」
グッと腕を引かれた。
私の腕を引いたのは、狡噛さんだった。
『こ、狡噛さん…。』
「怖いなら正直にそう言えばいい。無理はするな。
……あんたのそんな顔は見たくない。」
『……え?』
「…少しは、楽になったか?」
『あ、はい。ありがとうございます。』
狡噛さんとの会話のおかげでだいぶ楽になった…。
死に対する恐怖を身近に感じれば感じるほど……
私はやはり…それに、より恐怖を感じるのだった……。