第5章 気づいた気持ち
Side of 縢
あれから暫くして…1係のムードは少しギクシャクしていた。
なんだか、ぎこちない感じ。
"槙島聖護"と言う男の存在がそうさせたのだろう、と俺は思った。
「なー。コウちゃん。本当に大丈夫なの?」
「…何がだ?」
俺がいつもの調子でコウちゃんに問う。
すると、コウちゃんは同じようにいつもと同じ調子で尋ね返してきた。
「だぁーかぁーらぁーっ!!体調だよ!!体調!!…この間、ボロボロだったじゃん!!」
「ああ、もう平気だ。」
と、やはりいつもの調子でコウちゃんは答えた。
俺は少しふざけて……
「やっぱり、悠ちゃんがいるからカッコつけてんの?」
と、ニヤニヤと笑いながら言ってみた。
コウちゃんは
「…さぁな。」
と、笑いながらはぐらかされた。
「へいへい。コウちゃんってば、いつもそーなんだから。」
「そんな事、どうでもいいだろ。」
「良かねーよっ!!俺だって……!!」
言いかけたところで悠ちゃんがやって来た。
『狡噛さん、縢君……。』
……やはり、悠ちゃんの第一声は"狡噛さん"だ。
俺はいつも2番手。
そんなのつまんない。
なんて事を考えていると、ふと、一つの考えが脳裏をよぎる……。
そう……こんなの、まるで……。
「…嫉妬してるみたいじゃ……。」
「……縢?」
「えっ!?」
俺は焦った。
まさか考えていた事が無意識に声にしてたなんて……。
「な、何でもないよ〜。」
笑って誤魔化すと、悠ちゃんは不思議そうに首を傾げていたが、すぐに話に戻った……。