Welcome to our party 2 【気象系BL】
第12章 金木犀の涙 by うめ
目の前にある雅紀は…とても美しい顔をしていた。
「雅紀…これでもう…離れなくていいんだ…」
抱き締めながらそっとその唇に口付ける。
ずっと…ずっと一緒だよ雅紀…。
愛してる…。
衣擦れの音にふと目を覚ますと…事の終わったそいつが身支度を整えていた。
「起きたか」
「………帰るの?」
「ああ。また来るから」
「そう…」
男の背中を見送った後、はだけた着物を整えて窓を開ける。
窓辺に腰掛けてぼんやりと外の景色を眺める。
空が白み始め朝が近い。
下の通りにはまだほとんど人気は無かった。
変わらない景色。
変わらないこの部屋で客を取り続けるだけの毎日。
欲望をぶつけて満足して帰って行く男達…。
あいつも…人が寝てる間にコソコソ帰ろうとしやがって…。
「はぁ…」
煙管に火を付けて吹かし、煙を吐きながら視線を落とすと…ふと、下から俺を見つめる瞳と目が合った。
真っ直ぐで純粋なその瞳に俺は…一瞬で心を奪われたのだった。