第95章 第二ボタン by チャコ

「ごめんなさい。勉強に集中したいから…退部させてください」


櫻井先輩が卒業して…
僕は２年生になった。

もう…サッカー部に行く理由がなくなったから…

引き留めてくれる部員に頭を下げて…
僕はサッカー部をやめた。


サッカー部には…
卒業した先輩がよく練習を見に来てくれる。

櫻井先輩も、頻繁に来てくれるんだって…
同じ学年の部員に聞いた。



でも……
もう会わない…

会えない…


あんな姿を見せてしまって…

それまで僕が…
どんな思いで先輩を見てたかも
全部バレちゃったんだと思う…



卒業式の日、溶けてしまった僕が
ずっと泣き止まないから…

櫻井先輩は
自分の学ランを僕に掛けて
「ごめん…」って言って離れて行った

その隙に僕はカラオケから逃げ出して…

それっきり…




部活でしか繋がっていなかったから…
もう…櫻井先輩との繋がりは何もない……







うそ…


僕が今、学校に着てきてる学ランは…
櫻井先輩の…あったかい学ラン…



僕はまだ…
先輩から卒業できてはいないけど

この思い出だけで…いい…