Welcome to our party 2 【気象系BL】
第52章 月下香 by うめ
暗い廊下を…足音を忍ばせて歩く。
気付かれてはならない。
お嬢様…いや、奥様の部屋の前を通り過ぎ…突き当たりの部屋へと辿り着いた。
扉の前で深呼吸をする。
「………影山か?」
扉の向こうから…声がする。
その甘美な声に…身体の芯が熱くなるのを感じながら…扉を開く。
「………遅くなりまして」
「待っていたぞ」
「申し訳…ございません」
「何を突っ立ってる。こちらに来い」
御前が手を伸ばす。
ゆっくりと歩み寄り、その手を握った。
「………麗子は…もう眠ったのか?」
「はい。お休みになられました」
「そうか」
「明日…来月の舞踏会のお召し物をあつらえに行って参ります」
「そうか。それでは…麗子には淡い縹色のドレスを着せよう」
「畏まりました」
「私の隣で妻が光り輝く様に…最上のドレスを準備するように」
「………畏まりました」
すると…腕を引かれ、腰に御前の手が回る。
「影山」
「………何でございましょう」
「いつもの様に…」
「………畏まりました。御前様」
そして私は…ゆっくりと腰を降ろした。