第3章 episode1 23歳のJr.と4歳の女の子
_帰り道
『もし結月ちゃんを引き取る人がいるのなら、
北山さんみたいな人がいいなって思ってしまったので(苦笑)』
「俺みたいな人が、いい...か......(微笑)」
(俺が、結月ちゃんの家族になってもいいって......ことなのかな......?)
そう思うと、自然と笑みがこぼれてきた.......でも、
『はぁ!俺ら、いつになったらデビューできんだろ......』
『デビューのチャンスをつかむのは、結局は自分自身だろ?
俺らの努力がまだまだ足りねぇんだよ......』
今俺が最優先すべきことは、少しでもデビューに近づけさせること。
まだあんな幼い子を引き取ったとしても、俺は何ができんだ?
ただでさえJr.は先輩のバックを踊るのに夢中で、
子育てなんてする暇があんのか?
子どもを育てるのは、もの凄く大変だってよく聞く......
特にシングルマザーやシングルファザー......片親だけでの子育てもかなり大変、
子供の面倒をまともにすら見たことない俺が、
結月ちゃんを大人になるまで育て切れるだろうか?
正直、そんな自信は全くない。
ただ子供が可愛い、一緒にいて楽しいからといって、
子育てが楽になるわけじゃない......
本来なら俺は、どっかの企業に就職してもおかしくない歳なのに、
未だ夢を追いかけるかのようにこうしてチャラチャラした格好をして
Jr.を続けている......
そんな俺に、結月ちゃんを育てる自信なんて全くあるはずがない。
でも結月ちゃんは......
『パパみたいなの。』
俺を「パパみたい。」って、言ってくれた......
それが、
凄く嬉しかった......。
俺が家族になれたらなって、
心の奥から、思ったんだ......。