第1章 ◎出会い
「それで、
こんな時間に何してたの?」
パーカーを絞りながら
海辺にある木材に腰かける彼は
見透かしたように私を見つめた。
「うーん。
…家に、いたくないんです。」
「何で?」
いつもなら
こんなにズカズカ聞いてくる人と
口なんか聞かないのに。
でもこの人なら…
でもまだ抵抗があるな
そんな葛藤を繰り返していると
少し考えた顔をして
何かを思いついたように
顔をハッとさせた。
「そうだよね、
名前も知らないのに
そんな事話せないよね。」
そっかそっか。
そう言いながら
頭を掻き立ち上がった。
「俺、伊野尾慧っていうの。
今年26。
多分君より年上。」
年上なんだ。
てっきり同じくらいだと思った。
彼、伊野尾さんは
こちらを見て微笑んだ。
そうだ、あたしも自己紹介しなきゃ。
「宇佐美波留です。
えっと、18歳です。
まぁ、学校行ってないですけど。」
さっきまで
伊野尾さんが座ってた木材に
そっと腰かけた。
「そっか。
でも、高校は義務教育じゃないから
大丈夫でしょ!」
適当な発言をした後
隣に腰かけた。
時々当たる左肩に
心臓が高鳴った。
「で、何で家にいたくないの?」
言った方がいいのか
それとも無言を貫くべきか。
「波留-!」
慎重に考えていたとき
まことちゃんと
お兄さんの風磨君が
二人分の服を持って駆け寄って来た。