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白いカーネーション

第1章 ◎出会い


_You side_

家に帰ると
玄関に靴が二足。

外は夕日が沈み
蝉の声もなく
寂しく不気味な雰囲気。


そんな時間まで時間をつぶしたのは
この靴の持ち主に会いたくないから。


「波留、おかえり。」


扉の閉まる音を聞きつけて
慌てて玄関に来る
二つの足音。


「波留ちゃん…
 もう少し早く帰ってこれない?

 ごはんも
 一緒に食べたいし、ね?」


母親になった人が
私の顔色をうかがいながら
オドオドと呟いた。


「せっかく家族になったんだし、
 もっと家族らしいこと…」



「家族らしいってなに?」


お父さんの言葉を遮って
部屋に入ろうとしたとき
扉がまた開いた。



「ただいま…って
 どしたの、みんな揃って。」


母親の連れ子である
弟の大貴君が
元気よく入ってくる。


私と違って、
この家族になじんで
部活から帰ってきた弟。


「私がいなくても、
 大貴君と三人で家族ごっこしたら。」



部屋に入って鍵を閉め
勢いよくベッドにダイブした。


ココに居場所なんてない。



じゃあ、どこに
私の居場所はあるんだろう。



「明日はいいことがありますように。」



そう願って
重い瞼を閉じた。



本当に明日
私の運命を変える出来事が起きるなんて
知りもしないで。
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