藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第19章 ♡Story66♡ 最後のお仕事、新しい命
_11月3日
この日はTGC、百合が立つ最後の表舞台である。
「……。」
(これで、私の芸能生活が終わるんだね……色々大変なこともあったけど、
楽しいことも多かったな……沢山の人と出会えて、成長することもできた……)
「玉森さーん、そろそろスタンバイのほうをお願いしまーす!」
「ぁ、はーい!今行きまーす!」
(太輔、見ててね……?
私の、最後の表舞台……)
『続いて登場するのは!引退を間近に控えた玉森百合!
これが彼女の最後のステージとなるでしょう!!』
「……よし!」
「百合、最後のステージよ。堂々と、歩いていきなさい。」
シオンは百合の肩に手を置いた。
「はい!……あれ?シオンさん、左の薬指……」
「あら、これ?」
「っまさか……!」
「あとで、話すわ。
さぁ、もう貴女の出番よ?早く行きなさい。」
「ぁ、はいっ……!」
(シオンさん、いつの間に結婚……もしかして、相手の人って……)
百合は少し戸惑いながらもステージ上に登場。
「百合ちゃーん!」
「百合ちゃーん!引退しても忘れないからねー!」
「今までありがとー!」
ステージに上がって早々、百合はファン達から温かい声援をもらった。
「っみんな……」
そして声援の中には聞き覚えのある声も聞こえてきた。
「百合ー!!今までのステージの中でいっちばん輝いているよ!」
「っ美香ちゃん……」
「今までお疲れ!よく頑張ったな!!」
「陸……」
美香や陸達クラスメート、そしてその中には太輔らの姿も伺えた。
他のみんなが手を振り声をかけている中、
太輔は小さく微笑みながら百合を見ていた。
「太輔……」
百合は小さく名前を呼び、太輔に向かって手を振った。
すると太輔も応えるように手を胸元まであげ手を振った。
「……(微笑)」
(百合……お疲れ様……これからは、ゆっくりできるな……)
「……(微笑)」
(太輔……何も言わなくても、わかるよ……ありがとう、本当に……ありがとう……)