第12章 接
着物を脱いで畳に寝転んで。
身体を支えた腕と反対の手で、布団を叩く。
「お前はココ」
前と同じように教えてやれば。
やっぱり、寝間着の裾を掴みながら。
怖ず怖ずと布団に寄ってきて。
そのまま、そこに正座した。
「キンチョーしてる?」
俺の言葉に、コクリと首を上下させて。
「あのときとは、違う、から」
そう溢した。
「……俺も、キンチョーしてるわ」
初めてでもあるまいしな。
あんだけ無意識に。
抱きついてきてたのに。
あんだけ無自覚に。
抱きつかれてたのに。
いざ、こうなってみると。
ただ、一緒に眠るだけの行為に。
然れど、赤の他人が一緒に眠るという行為が。
こうも照れ臭いもんだと。
今更、気づくなんて。
「……坂田さん、も?」
「ああ」
「同じ?」
「同じじゃねェかもしれねーけど」
「うん……それでもいい」
今日、初めて見る安堵の表情が。
赤い目に酷く不釣り合いで。
「全部、銀さんに言ってみな?聞いてやっから」