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【100プリ】瞳に映して

第2章 曇りのち……


(あいつ…)

シドは険しい顔で王宮の庭を歩いていた。



数時間前のこと……。



「お前…何だよ、その怪我…」

「少しヘマしただけだ。何ともない…」

「何ともないレベルに見えねぇけどな。」

「やっぱり内通者がいる…
イナサの王宮内の奴だろう。
これだけ用意周到にやったのに
おかしすぎる。」

シドは舌打ちをすると呟く。

「誰だ…」



そんなことを思い返していると…

「シド!」

シドは振り向くも何も言わずに
アヤセの顔を見つめる。

「…何?」

「俺に嘘ついてあいつらと過ごした
休日は楽しかったか?」

「えっ…」

アヤセの顔が青ざめる。

「悪いが見かけちまった。」

「あのっこれには事情があって…」

「今は聞きたくねぇな。
俺以外の奴らと
遊び飽きたら連絡でも寄越せ。
じゃあな。」

くるりと踵を返すとシドは
スタスタと行ってしまう。

「まっ待って!!」

慌てて追いかけるも…

「来るんじゃねぇ!」

いつものシドらしくない
その言い方に足を止める…。

アヤセはそのまま
その場所から動けなくなってしまった。

目の奥が熱くなる…。

アヤセは思わず上を向いた。

(こんなことで泣かない…
泣くなんて変…)

けれど…

「もう…空までそんな顔しないでよ…」

空は先程まで
綺麗な夕焼けを映していたのに、
今にも泣き出しそうな色をしている。

アヤセはグッと手を握りしめると
王宮へと戻っていった。


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