第5章 朝から、する?
目を醒ますと、アイスブルーの瞳がこちらを見ていた。
「起きたか、おはよう」
「お…はよう…………いつから起きてたの?寝顔見てるなんて、趣味悪い」
「少しだけ先に起きただけだ。お前、口開いてたぞ」
クスクス笑う、意地悪そうな顔。恥ずかしくなって景吾の腕の中に顔を埋めると、ふわりと髪を撫でられた。
「お前、早起きだな」
「朝練ほとんど出てるから、早起きしてるもん」
「そうだな」
自由参加の朝練はほとんどレギュラーのみで、マネージャーにいたっては朝練の時間仕事はほとんどないから、みんな出てこない。
顔を上げて何時?と聞くと、景吾が時計を見て5時だな、と言った。
「お前の制服ここに届いてるからこのまま学校行けるぞ」
「ん、ありがと」
身体を起こすと、景吾も起き上がった。
!?
「景吾、制服…着てる…」
「ああ、お前より先に起きたからな」
少しって言ったくせに準備万端な景吾を恨めしげに見ると、ほら、手伝ってやるととパジャマに手をかけられた。
「わ」
まくられて慌てると景吾がクックと笑う。
「ひぁ、んっ」
後ろから胸を撫でられ声が漏れてしまった。
「朝から誘ってんのか」
「もう、景吾でしょ、それは!」
慌てて下着を着けて制服を着ると、景吾が優しげな目をして私を見ていた。
「その顔、反則」
景吾が笑う。笑顔も全部、好き。
「とりあえず今日、お前にボールぶつけた奴とその親が来る。お前の家には連絡したけど、学校には来れないそうだ」
「…うん、忙しい人だから」
「…そうみてぇだな」
景吾が諦めたような声を出す。来たところでうちの親なんて何の役にも立たない。お小遣いは毎月、中学生には少し多すぎる額を振り込んでくれるどうしようもない親。
病院の食事とは思えないきちんとした食事が運ばれ、2人で朝ごはんを食べた。
なんだかくすぐったい。合宿みたい。
「お前も朝練出るか?」
「うん」
景吾が微笑む。優雅で、王子様みたい。
広すぎる洗面台の鏡で髪をとかしていると、景吾が私を後ろから抱き締めた。
「今日こそレギュラーにはお前とのこと言うからな」
真剣な目。こんな顔をしている時の景吾は何を言っても無駄だ。
「キングが2日も腑抜けた顔してたなら、とっくにバレてるかもしれないよ」