第2章 契機
『花代』
ここは朝永家の治める城下。
城下には、たくさんの店が並んでいて、商売人やら、町人やら、武士やらで賑わっている。
その中の一つの、繁盛してそうな反物屋…ここが私の家と言いたいところだけど、ここは幼馴染みの幸助の家。
私の家は、その隣の茶屋。
私には優しい父様と兄様がいる。
母様は私が小さいときに亡くなったらしい。
けれども、父様と兄様がいれば私は寂しくなんてなかった。
決して、豊かな暮らしではないけれども幸せな暮らし。
私は今の生活がずっと続けばいいと思っていた。
でも、そうはいかない………