第1章 はじまり
「なんなんだよもお……」
朽木の胸ぐらを解放すると、そのまま崩れるようにその場にへたりこむ。この世の終わりだと言うように盛大な溜め息をつけば、後ろからコトリと小さな物音。
あ? と振り向けば、半ば顔面蒼白な三席と目があった。その後ろには確かに先程までいなかった筈の六番隊副隊長(確か朽木の分家筋の男だったはず)が抜刀しかけた腕を震わせながら俺を睨んでいた。
「覗き見、ねぇ? おい朽木、ちょーっと躾がなってないんじゃないのか」
盛大に舌打ちしながら立ち上がると、少しよれた朽木の衿元をぱっぱっとただす。そしてくるりと踵を返して、未だ俺をにらんだままの副隊長にニッコリ笑顔を見せた。
「おはようございます朽木仁之心(じんのしん)副隊長。今さら御出勤ですか? のろまですね」
とりあえず今日から一週間は俺はこいつの下になるわけだからな。敬語くらいは使ってやろう、うん。
「何で貴様がここにいるんだ。しかも今……」
「貴様、だなんて。この前再度自己紹介させて頂いたではないですか。私の名前は山本#翠#。や・ま・も・と・#翠#。もう忘れちゃったんですか? やっぱ腕一本へし折っただけじゃそのおバカな頭に刷り込むのは無理だったかなぁ」
「貴様っ……」