第10章 もう二度と会えない
彼女は俺からずっと離れた場所で立ち止まった
そして顔をこちらに向ける
俺は何故か急に走れなくなった
「ア、リス…」
俺は荒い息を整える
気づけば流れ星も彼女と一緒に止まっていた
アリスはニコッと笑った
最後に一緒に星を見たあの夜の時のように
そして徐々に体の色が薄れてゆく
「アリス…!ちょっと待ってくれ!」
俺はまだ何も伝えていないのに
好きだということ。アリスと離ればなれになってからのこと
言いたいことは沢山あるのに
けれど、彼女は何かを理解したように一度うなずき、手を振ってきた
そして完全に消えてしまう
「あ…」
また何も言えなかった…
流れ星も綺麗に消え去っていた
思わず座り込んでしまう
「結局アリスには絶対に追い付けないんだなぁ」
聞きたいことも沢山あったのに。
どうして急に現れたのか。
なぜ正体を隠したのか。
俺のことをどう思っていたのか
「星には追い付けない。そしてアリスにも追い付けないんだな、俺は…」
俺の眼から、流れ星が零れ落ちる。
流れ星は地上へと落ちて行った…。