第7章 あの日のことを思い出して
今思い返せばあれは、恋だったんだろう
まだ子供で、恋にはとんとうとかったから、大事な人という認識はしていたけれど、愛しいということがわかっていなかった
あの後俺は何人か彼女が出来たけれど、やっぱりあんなに一緒にいたい、と思った相手はいなかった
ずっと前に会った女の子を忘れずにいるなんて、女々しい男だというのもよくわかっている
それでも、あんなに大切な子はもう2度と会えない気もする
だから、絶対忘れられない
それのせいか…。やっぱり今でも探してしまうんだろうなぁ
俺は天体望遠鏡のレンズを拭きながらため息をついた
俺は大学に入って、天文学部に所属している。
暇さえあればずっと星を見ているから、星に恋する男、と友達にからかわれた
それもあながち間違ってないんだよな。
だって星は彼女を思い出す大切なものだから
「そう言えばさ、俺らが中学の時に田舎に隕石堕ちただろ?」
大学に入って出来た友達に話しかけられる
「ああ、そこ俺の地元」
「え⁉それすげえな。」
「それで?どうかしたのか」
俺は話をせかす。
「その隕石は、最近発見された星の一部だったんだって」
「ええっ!?」
思わず俺は立ち上がった。そのひょうしに望遠鏡に体をぶつけた
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫。心配しないで」
「いや、俺が心配してんのは望遠鏡の方。壊したら絶対弁償代高いし」
こいつもなかなか非情なやつだ
「で、その星の名前は?」
「…。アリスだとよ」