第21章 【番外編】恋に落ちる(国見英)
「及川さん、俺何もしないで諦めるつもりはありません。」
そう言って出場した青城祭のミスターコン。出場するつもりなんて無かった。面倒だし、橋口さん以外の女子にキャーキャー言われても嬉しくも何ともない。けど、ただ黙って及川さんと橋口さんを見ているのは嫌だった。だから及川さんに勝って自信をつけたかった。
「及川さんだって負けないよ。三連覇かかってるし。」
そんな俺の気持ちも知らないで呑気にそう言う及川さん。この人も影山に負けないくらいバレー馬鹿だから、きっと自分の気持ちにも気付いてないんだろうな。
結果、グランプリは及川さん。俺は準グランプリ。
「来年からは国見ちゃんがミスター青城だと思うよ。及川さんの跡を継いで頑張ってよ。」
「…もう出ませんよ。」
「え、なんで!?」
「及川さん、本当におめでたい頭ですね。」
「ちょっと国見ちゃん!おめでとうございますじゃなくて、おめでたい頭ってどういうこと!?」
「そのまんまの意味でしょ?」
「橋口さんも及川さんと大差ないと思います。」
「ちょっと、どういう意味よ!?こんなのと一緒にしないで!」
「こんなのって酷いよ莉緒ちゃん!」
俺の気持ちも知らないで、そう言った橋口さん。でも、そんな貴女だからこそ俺は好きになった。いつか貴女の隣に並んで歩ける日が来る事を祈り乍、後夜祭に出演する二人を見守った。俺は多分岩泉さんにも及川さんにも叶わない。でも、この恋を諦めれる気もしない。
…ℯꫛᎴ