第2章 彼女の素顔
「莉緒ちゃん、確かに可愛いと思うけどさ、毎日毎日ヤバくない?」
「女版及川みてー。」
そう言って皆ゲラゲラ笑うけど、俺の場合は相手が女の子だからいいけど、莉緒ちゃんは自分よりも大きくて力の強い男達に取り囲まれるんだから、怖いと思う。皆冗談言って笑ってるけど、それはわかってる。
「岩泉、莉緒ちゃんって昔からあんな感じだったのー?」
「そういうのは莉緒自分で何も言わねーからよくわかんねーけど、おばさんが言うに、中学の時かららしい。おじさんが危ないからっつって、高校からは女子高にかえたらしいけど、出待ちとか毎日だったって聞いてたけど、詳しいことは知らねーよ。」
「岩泉、莉緒ちゃんと親公認の仲なわけ?」
「母親同士が仲いいんだよ。」
ちょっと岩ちゃん、それ俺も初耳なんだけど。
「まあ、あんだけ可愛ければ親も心配だよなー。」
その言葉に皆頷いた。
「てかさ、莉緒ちゃんバレーやってたんだろ?なんでバレーここではやんねーの?」
「それ、莉緒に絶対聞くなよ。」
岩ちゃんは険しい顔でそう言うと、部室もなんだか気まずい雰囲気で誰も何も喋らなかった。
「俺、先に莉緒のとこ行くわ。」
岩ちゃんは着替え終わると、すぐに荷物をまとめ、部室を出た。