【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第9章 聖なる否定と、悪しき肯定。
「あ!カラ松神父、帰られたのですか?」
「あ、あぁ…」
ニコリと笑うシスター。
その笑顔の中に、一松はいない。
「シスター、一松の姿を知らないか?」
いないと知って聞いてみる。
「さぁ…?また猫に魚でもあげてたんじゃないですか?」
「……そうか」
一松がいない教会…か…
あの時意地でも一松を引き留めてさえいれば。
俺が悪魔になんか関わらなければ。
こんな事にはならなかったのかもな。
俺は一松の部屋に入った。
コンコン
…コン
返事はない。
当たり前だ。だって部屋の主がいないのだから。
「一松」
声をかけても姿はない。
当たり前だ。だって一松自体がいないのだから。
いないのだから。
いないのだから。
いないのだからッ!!
「ッ…!」
ダンッ!
壁を力強く叩いてしまった。
ただの八つ当たりだ。
神父のクセに、
物に当たるなんて。
常に清らかに生きなければいけなかったのに。
なんでこう、ただの私情で全てを壊してしまうのだろうか。