【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第8章 彩りのない、運命は
「見つけた…」
感覚かな?
“一松が森の奥にいる”
と、怖いくらい感じたのだ。
がむしゃらだ。
あの時、一松が言った言葉?
『神父なんか、大ッ嫌いだ!』
フフ、馬鹿らしい。
俺にそんな“嘘”が通用すると思ってたのか。
一松は、嘘をつくのが下手だな。
俺じゃなくても、一松のあの言葉は、演技だと分かるはずだぞ?
……そう、信じたい。
いや、でも俺が一松に嫌われる動機は充分過ぎるくらいある。
嫌われることは愚か、殺されても良いくらいの動機でさえあるのだ。
もしあの悪魔が、一松に憑いていた時期に、俺の『罪』を話していたとなると───────
嫌われても仕方ないな………
でも、森に二人がいた。
一松は顔が真っ赤で。
悪魔は照れくさそうに笑ってて。
何をしていたのか、少し理解して。
あぁ、そうか。一松も、悪魔に騙されてしまったな。
全く、誰に似たんだか。
もう一松を野放しにしておこう。
悪魔のあでやかで愉快な誘惑に呑み込まれて、
反逆者にでも殺人鬼にでもなるが良い。
一松から悪魔を剥がして、一松に笑顔なんかくるはずない。
帰ろう、教会へ………
「ごめん、今教えてやりたいけど後でな。お客さんだ。」