第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
しかし、ボールを奪われシュートを決められるどころか、黒子のパスも通らなくなっていた。
「見るに耐えない愚考だよ。唯一最大の長所を、自ら手放すとは」
赤司が黒子に話しかける。
「ドライブにシュート、光ることを覚えたばかりに、影にもなれなくなった」
黒子は、赤司の言葉に過去を思い返す。
数々の試合で見せた、危機を救ってきた技。
「幻の六人目でなくなったお前では、並の選手の価値もない」
そう言われるもリコの考えの中、すべての技をさらけ出し、止められてから黒子を下げた。
試合に勝つには黒子は不可欠。
復活の糸口を見つけるために、一度下がって様子を見ることにした。