第24章 叶わぬ夢を抱いて
「やっといつもの桜に戻ったな。少し、からかいすぎたか」
不意に笑う緑間に、拍子抜けする桜。
「…ごめんなさい…勝手に来て…」
桜はうつむき、ぽつりと呟いた。
「全くお前という奴は…そのことで怒っていたのではないのだよ」
緑間は桜の頭をぽんぽんと撫でると、手を取りベンチに腰かけるよう促した。
「やっぱり怒ってはいたんだ…私、何かしちゃった?」
恐る恐る聞いてくる桜を見て、緑間は大きなため息をついた。
「あぁ…桜が悪いのだよ」
「え…やっぱり私、何かしたんだ…ごめん…」
「高尾に…俺以外の男に構うな…それに、触れるなど許さないのだよ」
そう言って緑間は桜の頬に手を置き、唇が触れそうなほど近づいた。