第10章 シャボン玉~黄瀬の場合~
「ずっと好きだって言ってくれてたのに…今更遅い…かな…」
抱きついた腕を緩めて、黄瀬を見上げる桜。
「そ、そんなことないッスけど…って!緑間っちとはどうしたッスか」
桜の両肩に手を置いて、少しだけ咎めるように聞く。
「別れたよ。だって、神経質だし、変だもん」
あっさりと言い切る桜。
「本当に好きなのは黄瀬君だって気づいたの…だから…」
目じりに涙をためて見上げてくる桜。
「桜っち…本当に…本当に俺のものになってくれるッスね?」
「うん…私を、黄瀬君のものにして…」
桜は黄瀬にきつく抱きついた。