第5章 歪みに飲まれる愛

『取り消して下さいよ
私は…優しくなんかないし
真面目でも
ましてや良い子なんかじゃない
もう…鉄朗と顔合わせられない…』

「それは結婚も止めて
会社も辞めるって事？」

『…それも仕方ない事…かも…』

鉄朗と離れるのが辛くないわけがない
仕事だって好きだから
辞めたくないけど
何食わぬ顔して
要られないじゃない…

涙を堪えて頷く私に

「…じゃあ俺が辞めるよ
姫凪ちゃんを
追い込んだのは俺みたいなモンだし
責任取って辞める
クロちゃんだって
姫凪ちゃんに手を出した
俺とチームとか
嫌だと思うしさ」

思わぬ言葉が降ってきた

『何言ってるんですか？！
なんで及川さんが…』

「キミが辞めるなら
俺も辞めないと。
連帯責任？
もしかしたらクロちゃんも
辞めるって言うかもね」

『いや、意味わからない！
巻き込んだら
それこそ罪悪感で死ぬっ』

鉄朗も及川さんも
私と違って会社でも
重要なポストについてるし
大切な企画の中心人物だし
それに、それに…