第21章 蛇と妖怪と王様と
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「時間は30分です」
「はーい、どーも」
軽く看守の人に会釈して、透明なアクリル板の前のパイプ椅子に座る
ホントここは息が詰まりそう
花街も違う意味で息が詰まるけどここも大概だ
シケた面した元罪人達が犇めいていて・・・ここには入りたくないと思わせている
キィ・・・
少し待つと、アクリル板の向こうの扉が開いた
入ってきたのは、見慣れた顔と綺麗とは言えないがまっすぐ額を隠す三角の前髪の男
「…久しぶり、飛雄ちゃん」
「・・・。」
板の向こうのパイプ椅子に座るその男、影山飛雄
元は俺の部下で、いつも俺に暗殺の仕方を教えてくださいと頭を下げてきたクソ生意気な奴。
2年前当時の異名は、『殺しの王様』
暗殺の場で横暴に仲間を使い何人かを見殺しにしてしまった
その結果、仲間の謀反にあってマル暴に捕まりここに入れられた。
「・・・どう、ここに入って頭冷えた?」
「・・・。」
黙秘を続ける飛雄
そんな飛雄に、俺は両肘をついて飛雄をみた
「…飛雄、ここから出たい?」
「・・・ッ!!」
その一言で、飛雄の目の色が一変した
彼は、暗殺が好きな男だ
だから刑務所に居ればそんなことは許されないから、こいつは外に出たいに決まっている
「…もうすぐ出れるようになるから・・・。出たらね、殺してほしい女がいるの」
俺は、胸ポケットに隠し入れている1枚の写真を板を挟んで飛雄に見せた
「…!!可愛い」
「そりゃ可愛いけど、この子ね白鳥沢の跡取りなの。下手に殺さなくていい。この子を連れて白鳥沢本山に乗り込んでそして、牛島の目の前で殺すの。いい?」
首を傾けて尋ねると、明らかに目が輝く飛雄
もうすぐで手続きが終わるから、そうしたらまた迎えに来る
それだけ言って及川は、パイプ椅子から立つ
じゃあよろしくね・・・
と言い残して・・・
「及川さん・・・」
意外に飛雄が呼び止めた