第15章 地獄と天国
部屋に行くと、子供たちがみんな待っていた
「…兄ちゃんすごいおっきい声!!」
「俺びっくりした!!」
と、トオルの周りを囲んでいた
トオルは子供には優しいからちょっと安心したような顔をしていた
「はいはい、全員席に着く!!ご飯食べる!!そして寝る!!」
紫乃さんが声を上げると、子供たちははーいといって席に着きに行った
俺はトオルを席に連れて行った。松川と花巻がトオルを見ていた
「・・・。」
「…早く座れよ。」
「…うん」
松川は、結構大人なんだと思った
何も聞かずに、飯を出してくれた
周りの雰囲気でトオルも少しは落ち着いたみたい
出されたシチューをすぐに完食してしまった
「よし、じゃあ次は風呂だ。ちっちゃい組~行くぞ~。一静たちは後でな。4人で待ってな」
と紫乃さんは出て行ってしまった
部屋に残された俺達4人だが、トオルは俺につきっきりだし他の2人はそれぞれ好きなことをしていた
「ハジメちゃん…俺達、これから…」
「…分かんねえ。このままここにいるのも…」
これからのことを2人で考えていたら、松川が本をたたんで近づいてきた
「お前ら、ここに住むんじゃねえのか?」
「えっ…」
「でも…ここになんて…」
「ここは〈青城保護施設〉身寄りのねえ子供を保護してる場所だ。ここに居れば、もう寒空の中で寝たりしなくていいんだ」
と言って、飴を1つずつ俺達にくれた
俺とトオルは互いに顔を見合わせて微笑んだ
こんなに安心した気持ちは、久々だった