第14章 岩泉の告白
「何か飲みますか?」
「俺アイスコーヒー。なんも入れずに」
「俺酒な。珍しいな、お前が酒じゃねえなんて」
「車で来てんだよ、悪いか?」
「別に~」
『黒尾さんうるさいです、大人げないですよ。』
「うるせえ」
「夜琉ちゃんは?」
『今日はあったかい紅茶がいいです』
「かしこまりました」
奥のテーブルにあたしと岩泉さんは座って黒尾さんはあたし側の椅子に座らずに背もたれのところに背中を預けていた
「んで、何の話だ。俺にもしたい話って」
「あぁ、そうだな。お前の胡散臭え顔を見続けるのもアレだからな本題に入るか…」
「あぁ…?」
『2人とも子供ですか?』
大人2人のバカな口喧嘩をあたしは軽く聞き流す
その間に海さんがケーキとそれぞれのドリンクを持ってきてくれた
「じゃあまずは、及川のことだ。夜琉はあいつや俺達が紫乃さんの育て子だってことは知ってるよな」
『はい…』
「…誰だ、紫乃って」
事情の分かってない黒尾さんがあたしに尋ねた
それを見ていた岩泉さんが、1枚の写真を出した
それは、及川さんの部屋にあったあの写真だった
紫乃さんと、及川さんたち4人が小さい時に撮ったあの写真
「…なんだよこの姉ちゃん、夜琉にそっくりじゃねえか」
『その人、あたしの実のお母さんらしいんです』
「はぁ!?だって、お前の母さんは…」
「最後まで話を聞け、クソネコ」
「あ゛ぁ!?」
『やめてください!!』
ここまで来てまだ2人は喧嘩モードだった
ホント子供・・・
「…それで、その姉ちゃんと及川がなんだって?」
黒尾さんがため息をついてまた岩泉さんに向き直った
岩泉さんは、出されたアイスコーヒーを飲んではぁ…息を吐いた
そして、ゆっくり話し始めた
「・・・俺達は、20年前は・・・」
そこから、岩泉さんの告白が始まった
岩泉さんや及川さん・・・そして紫乃さんについての・・・